電力の深い闇 ~原発をフル再稼働しない本当の理由2022~

節電が呼びかけられていますが、
近年の温暖化と電力需要の増加は
予想できたことであり、
電力不足は『別の原因』があります。

 

原発で対応できない理由

「だから早く原発を動かせと言ってるだろ!」
という声がよく聞こえてきますが、
原子力発電は出力が大規模かつ一定で、
こまめに調整できない仕組みなので、
昼間の電力量の増減には対応できません

 

太陽光も原因だが……

「太陽光と風力が安定しないから~」
という電力業界側の言い分が正しいとするならば、
再生エネルギー比率が日本よりも高い「他の先進国」
どう乗り切っているのかを研究して学んで欲しいかなと思います。

 

実は日本の
昼間の電力量は「何も無くとも」「50年以上の昔から」
早朝の2倍以上になっています。

 

1990年
AM5時の電力……2189万kwh
PM3時の電力……4930万kwh

1970年
AM5時の電力……715万kwh
PM2時の電力……1570万kwh


出典 東京電力
1日の電気の使われ方(年間ピーク発生日)|数表でみる東京電力|東京電力ホールディングス株式会社 
(住宅用の太陽光発電が始まったのは1993年

 

火力発電が出力調整の主役

この2倍になる変化に対応するのは
火力発電揚水発電であり、揚水発電は不効率かつ小規模なので
火力がメインになります。
原発はベースロード電源と呼ばれ、土台や基礎に位置づけられ、こまめな出力調整はできません。
 AM5時の一番少ないときの電力がそのまま原発の最大出力で一定というイメージです)

 

主役だけど火力発電所を誰も建てたくない理由
 
「じゃあ、火力発電所を増やせばいいじゃないか。
 環境規制があるから火力発電を建てられないんだ、
もっと規制を緩めろ!」
という意見もありますが私の見解ではちょっと違うかなと。

 2030年には太陽光技術革新によって火力よりもコストが安くなるという試算があります。

(この手の試算がまったくバラバラで、ソースも条件設定もよくわからないものが多いのですが、
 世界で見ると太陽光パネルが増えていること、太陽光の発電効率が年々上がっていることだけは確かです。
 
 ただ、私は住宅用の太陽光パネルはオススメしません。
 メンテナンス費用を含めてトントン、国内の売電価格も下がる一方です)

 

 将来、火力発電は高く付くとなれば、民間企業は高コストを嫌って火力発電を建てません。
 儲けるのが民間企業の使命であり存在目的だからです。

 

自由化が問題だった?

 エネルギーの自由化によって新電力と呼ばれる新規参入が相次ぎましたが、
 このところのウクライナ情勢による原油高によって
 需要が満たせず倒産したりしています。
 
 しかし、元からある大手電力企業が、「やっぱり元に戻したい」という契約を蹴ったりしていて、
 自由化そのものが供給不足を招いたわけではないかなと私は考えます。
 自由化によって安くなると言っても、仕入れ値を上回ることは不可能だからです。
 エネルギー自給率が低い日本の特性も考える必要があります。

 自由化してもしなくても、原価が高くなれば厳しいです。

 

資本主義の罠?

 経済学の父アダム・スミスが提唱した『(神の)見えざる手』によって
 各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体において適切な資源配分がなされ市場経済が最適化されていく
 という資本主義の原則と言えるものがあります。
 
 ただ、投機的な動きが必ずしも万人にとって適切な結果となるわけではありません
 
 たとえば、円安は輸入企業にとっては損になり、輸出企業には得になったりと
 立場によって効果が違います。
 
 私は少額ですが石油株やコモディティ(小麦や金地金などの商品取引)のETFを買って利益を得ました。
 石油や商品が値上がりして困っている人もいれば、
 巨額の利益を上げている人もいます。
 
 電力の供給をしぼって、高値で売れば儲かるから
 電力会社が『足りない詐欺』をしているのでは?
 
 休止している火力発電所もあるので、
 『火力発電所稼働率リアルタイムで公表すべき数字ではないでしょうか?
 
 A「ライフラインは国営にして、利益は国民全員が平等に享受すべきである!」

 B「いや、自由化をもっと進めてこそ、既得権益の暴利を改められる。神より儲けているエネルギー業界を許すな!」
 
  A 国営 vs B さらなる自由化
 
 あるいはもっと別の選択肢がある?
 
 皆さんはどう思われたでしょうか。