北朝鮮を擁護する人たち
テレビで「金正日さん」とさん付けで親しみを込めて北朝鮮側の事情を説明するという番組を見かけました。
とうとう日本のマスコミもここまで来たのかとあきれる思いです。
その番組の中で、「北朝鮮はアメリカと話し合いをしたいので気を引くために核実験や弾道ミサイルを開発している」という論調でした。
本当にそうでしょうか?
話し合いをするのにいきなり銃を撃ちまくって脅してくる人がいたら、まず警察に捕まるか、怖がられて逃げられるのがオチです。友好的な話し合いになるはずがありません。ましてや戦争好きのアメリカを挑発するのは自分を危険にさらします。イラクのフセイン政権のような自殺行為になりかねません。
「いやいやそれが彼らの『話し合い』の方法だ」と言い張るのなら、日本も核武装をしてから中国や北朝鮮や韓国と『話し合い』をしてみたらどうですかね?
たぶん、こう切り出すと彼らは「とんでもない! そんなことは許さない!」と怒り狂うことでしょう。そこには中国や北朝鮮や韓国は何をしても良いのに、日本がやってはいけないという人種差別的な論理があると思います。そして彼らは都合が悪くなると侵略戦争の歴史というワイルドカードで、破綻した論理をごまかしてきます。
北朝鮮の真の目的は別にあると考えるのが妥当でしょう。
また、彼らに公平や公正な態度を期待してはいけません。
人種や国に関係なく、一定数で平気で嘘をつく「サイコパス」という人間がいて、それが独裁的な権力を持っているとどうなるか、考えてみて下さい。
どうやって相手の嘘を見破るか。
違和感は何なのか、自分で論理的に考える癖を付けるようにしておかないと、日本人は彼らに騙され続けることになり、搾取されまくると私は考えます。仲良くしたいから金をよこせと言ってくるのは「いじめっ子」や犯罪者であり、日本がそれに応じれば複数の「いじめっ子」から集中してターゲットにされる事になります。
憲法前文の『平和を愛する諸国民』というのは国連(連合国)側の建前でしかないのです。押しつけられていないと強弁する人たちもいますが、アレを作ったのは連合国です。
また彼らがよく使ってくる論理に、「日本は引っ越せないから隣国とは仲良くすべきだ」というのがあります。
ご近所だから仲良くしたいという論理なら、ご近所にやくざがいても仲良くするのでしょうか?
北朝鮮や中国といった難癖を付けてくる国が何を言うか、ではなく、日本に対して何をしてきたか、相手の行動で判断すべきです。
常に日本が先に譲歩して、相手側だけが利益を多く取る交渉を続けていれば、日本はいずれ疲弊し、貧乏人がどんどん経済的に追い込まれ、自殺していくことになります。もちろん、北朝鮮や中国の本音としてはそれこそ望むところでしょう。本心を政府が言うことは無いでしょうけど。
さて、検証不能な推測ではなく、行動や事実を見ていきましょう。
北朝鮮の行動で一貫していることがあります。
それは核戦力の増強です。
過去にKEDOなど援助と引き替えに核放棄したという事実もありますが、再び核武装してくるのは援助狙いの目的とは考えにくいです。今回は北朝鮮自身が「核は放棄しない」と最初から明言しています。
つまり、北朝鮮の指導者は敵を外に作って国内の国民に見せることで、政府への忠誠と団結を促しているのだと私は考えます。従って、北朝鮮にとってはアメリカは常に強大な『敵』でなくてはならず、話し合いをする意図は最初から無いということになるでしょう。
アメリカとの話し合いが目的なら、そもそも日本や韓国にちょっかいを出す必要もありません。
もう一つは中国の存在です。
中国が北朝鮮をこれまで支援してきたのは今更説明するまでも無いでしょう。香港資本のタクシー会社が北朝鮮に展開して発展していることなど、ニュースでもやっていました。
北朝鮮は石油が無い国です。
中国などから輸入しなければ戦闘機やミサイルは飛ばせません。
石炭と石油の決定的な違いは軍事的な用途にあります。
石炭ではミサイルは飛ばせないのです。
中国は表向きは反対すると言いながらなかなか石油を制裁してきませんでした。石炭の貿易を止めると今回は言っていますが、そこに軍事的な重要度はほとんど無いでしょう。
これは何を意味するかといえば、中国は北朝鮮の核兵器を裏で容認しているということです。トランプ政権は中国に外交的圧力を期待して外交交渉していますが、そもそもこの戦略は上手くいくはずがありません。
中国は本音としてはやる気が無いのですから。
中国が本気で北朝鮮の核放棄を迫るなら、石油を止め、世論操作で北朝鮮を厳しく非難するでしょう。日本に対してやっているように、です。北朝鮮系のレストランが中国で破壊されたという話は寡聞にして耳にしたことはありません。
最後にアメリカです。
アメリカは戦争が大好きな国で、十年に一度は大きな戦争をやってどこかの国を攻撃して破壊しています。イラクやアフガンやベトナムなど、アメリカが介入しなければもっと平和になっていたのではないかと思うような戦争もたびたびあります。ノーベル平和賞など冗談でも与えてはならない悪魔の国だと私は思います。
しかし、今回アメリカが北朝鮮に対して軍事行動を起こす可能性は極めて低いと私は見ています。理由は三つあります。
1 アメリカの最大の敵がイスラムであること。
2 北朝鮮に石油が無いこと。
3 中国が北朝鮮の事実上の同盟国であること。
アメリカは60兆円以上の軍事予算を持つ世界最大の軍事国家ですが、それでも最近は予算不足で二正面作戦を放棄したようです。だから、中東などで戦争するときは、アジアでは戦争をやらずに外交交渉で片を付けるということになります。せいぜい軍事演習で牽制する程度でしょう。
また、新しく就任したトランプ大統領は、選挙戦の勝利の時に家族を一人一人紹介したり、要職に家族を据えるなど家族を大事にする人です。
そのトランプの家族にユダヤ系の人がいて、イスラエルなどの中東問題を特に重視していると私は見ます。「イスラエルを愛している」と繰り返し言っていたりします(アメリカの議員では珍しくないようです。共和党も民主党も親イスラエルです。ヒラリーも親イスラエル、オバマも親イスラエル。日本の同盟とは格が違うというか、ユダヤがアメリカを支配しているのでは? と思うくらいです)
シリアを警告無しでいきなりミサイル攻撃するなど、歴代の大統領の中でもかなりアレな性格のようですが、今のところ北朝鮮に巡航ミサイル攻撃は仕掛けていませんね。
だから、ニュースでたびたび耳にする「日米韓の結束」という言葉は私には不吉に思えます。アメリカとの同盟は、中東での戦争に巻き込まれる可能性が高いと思うからです。こう言うと「お前はイスラム過激派の仲間なのか、テロを擁護するのか」といわれるかもしれませんが、歴史的に日本は十字軍戦争はやっていませんし、中東との宗教戦争をやる大義も動機も無いと考えます。
共謀罪の成立が戦争に結びつくのではないか、と恐れる左翼側の言い分も私は理解できます。
もっとも私は、イスラム系の移民を日本に呼び込もうなどと言うつもりもありません。北朝鮮との話し合いも同様です。ドイツは世界一の経常黒字30兆円を達成するなど経済的余裕もありますが、日本はそんな余裕は無いと思います。
内向きのアメリカファーストのトランプと、いよいよ本性を現してきた中国と、経済的に余裕はあまりないはずなのに軍事行動で自滅的に孤立していくロシアと、日本に嫌がらせしかしてこない半島の二つの国と、日本はより厳しい状況へ追い込まれていく中で、戦略的な視点が持ちにくいのは非常にゆゆしき問題だと思います。
せめてマスコミが日本人や一般人のための報道をやる機関であれば、と思わずにはいられません。