農業は国内の雇用を生んでいます
世界貿易機関(WTO)が日本の農業について「過保護な状態が続いている」という報道がありました。
2chでは農業叩きのコメントがいくつか付いています。
しかし、
"フランスでは農家所得の 8 割は補助金であり、米国でも 3 割に達するといいます。"
一方、日本は私が調べたところでは1割であり、WTOの言い分というのは非常におかしな印象を受けます。
国連の組織…ではありません。
自由と言えば聞こえが良いですが、「誰のための自由か」みなさんは考えたことはありますか?
アメリカのトランプさんが潰してくれたTPP条約も自由貿易経済圏を作るためのものであり、民主党政権時代にすでに参加の意向が表明されています。自民党も最初は反対だと言っていたはずですが、出来レースのプロレスみたいな政治ですね。
民主党政権は農業公共事業を6割以上も削減(朝日新聞)していたそうで、いったい彼らはどこの国のための政治をやっているのか呆れてしまいます。
リカードの比較優位の罠
自由貿易推進の根拠としてよく言われるのがイギリスの経済学者リカードの比較優位理論です。A国とB国で、お互いに得意分野の生産物に労働力をつぎ込んで特化し、それを取引した方がお互いウインウインになれるというアレです。
第7回 リカードが発見した貿易の大原理 「比較優位」 (3/3ページ) - 池上彰のやさしい経済学 : 日経Bizアカデミー
自動車を売るための条約?
元読売新聞記者の三宅さんが「農業は儲からない」とテレビで言っていましたが、じゃあ、日本で一番儲かっている自動車は本当に国内の雇用を作ってくれているのでしょうか?
トヨタ自動車がアメリカに1兆円の工場建設の約束をしましたが、自動車などの産業はもはや国内産業とは言えません。従業員の割合も、外国人の方が多いはずです。
これに日本国内にいる外国人実習生や下請け外注企業などの外国人労働者を加えればさらに外国人の比率は高まると考えられます。今後もトヨタ自動車は海外生産の強化の方針を明言しています。
結局、経済学者リカードの比較優位の考え方で行くと
通貨高の国の雇用は、どんどん通貨安の国に奪われていくことになります。
「そんなもの、車を売って儲かった金で外国から食品を輸入すればいいじゃない」という人もいるかと思いますが、そこに三つの問題があると私は考えます。
1食品の安全
中国産の毒ギョーザに限らず、日本でかつて禁止だった農薬が輸入品に使われていたりと健康面の不安があります。小麦粉の種類によってアレルギー反応が出たりもします。
食中毒以外の病気、例えばガンだと食品が特定されることは稀です。エピジェネティクスという遺伝子的な問題を孕んでいる可能性も考えられます。
6歳女児の胸が急成長!? 「性早熟症」を引き起こす、季節外れの中国産青果類に要注意! - エキサイトニュース(1/2)
成長ホルモン投与で通常の2倍の速度で成長する米国のサケ ~安田節子氏講演『TPPでどうなる?遺伝子組み換え食品』 | IWJ Independent Web Journal
2 安全保障
もう一つ、日本は第二次世界大戦中には深刻な食糧不足であったことは皆さんも学校で習っていると思いますが、安全保障上の問題もあります。
農地は草木が生えて荒れてしまうとすぐには元に戻せません。政府の減反政策により、日本の農地は次々と破壊されています。
アメ車なら買わなくても生きていけますが、食料だとそうも行きません。
足下を見られて高値であっても買わざるを得ない状況を想定しておくべきです。
中国と戦争になれば潜水艦による通商破壊で食料を運ぶ船は撃沈されてしまうでしょう。中国の軍事予算はすでに日本の3倍の15兆円に達し、毎年10%近い伸び率で増えています。
戦争にならなくても、日本が輸入に頼っている肥料のリン鉱石は米国と中国がすでに値上げしています。
3世界人口の増加による食料争奪戦がやってくる
最後の問題ですが、いずれ、世界の食糧は足りなくなります。
現在、世界人口は70億人と言われていますが、2050年には90億人に増えることが予想されています。そのためには60%の農地の拡大が必要だそうですが、現在ですら世界の8人に1人は飢餓状態です。
穀物生産高はアメリカや中国に大きく後れを取り、日本は国土が日本より狭いイギリスやイタリアにダブルスコアで負けている始末です。
23位 英国 24,468,847
33位 日本 11,602,969
自給率も減り続けています。
食料は生活必需品で有り公共物であると私は考えます。
先進国で農業を捨てた国はありません。
マスコミから他国のスパイを追い出し
学校教育できちんと食糧問題を教えるなりしないと日本は非常に厳しい状態になると思います。